ニジェールの土地再生現場
ニジェールの土地再生現場
ABCクッキングスタジオは、国連世界食糧計画(WFP)と日本国内初の「広報パートナーシップ契約」を締結しています。今回はアフリカ大陸「サヘル地域」で取り組む、WFPの気候変動対策についてご紹介します。
雨水を貯めて緑化を目指す「半月型農法」
アフリカ大陸を横断するようにサハラ砂漠のすぐ南に広がる、ニジェール、チャド、ブルキナファソ、マリ、モーリタニアが位置する一帯を「サヘル地域」と呼びます。砂漠のような極端な乾燥地帯ではなく、短い雨季があるため、伝統的に遊牧民や小規模農家が農耕や牧畜を営んでいます。
ところが近年、サヘル地域はサハラ砂漠の拡大や降雨不足といった深刻な気候変動の影響を受けており、多くの人びとが深刻な栄養不良に直面しています。WFPはサヘル地域の気候変動対策として、大地に半月型の大きな穴を掘り、雨水を貯めて緑化を目指す「半月型農法」に取り組んでいます。
農業生産性の向上
半月型の構造物を掘り、雨水がたまるようにする
穴を掘るのに特別な道具は不要です。雨を効率よく貯めるために、半月の中には溝や穴も掘ります。モーリタニアの農家モスタパ・ソウレマネさん は、半月型農法のおかげで生活が一変したと言います。「これまで長く住むことができなかった場所で、農作物が収穫できるようになった。ヤギも飼えるようになり、子どもたちにヤギ乳を飲ませている」と満足そう。貯めたお金で、これまで村になかった飲み水用の井戸も掘ることができたそうです。
WFPの成果
ニジェールのサンデ―ル地方
水があることで植物が育つようになるため、農作物が収穫できるようになります。また家畜が野生の草を食べるようになり、草を求めて移動する必要がなくなります。大地に水が浸透することで木が育ち、半月型の緑が数年かけてつながることで乾いた土地に命の循環が生まれます。こうして誕生したグリーンベルトは、砂漠の砂の浸食も防ぐことができます。
WFPはサヘル地域の5ヶ国で、5年間に30万ヘクタール以上を緑化し、3,400の村に住む400万人の生活を変えました。
半月型農法による土地再生活動の成果
ニジェールのサンデ―ル地方
半月型農法による土地再生活動の成果
国連世界食糧計画(WFP)とは?
飢餓のない世界を目指して活動する国連の食料支援機関。緊急時には命を救う食料を届ける共に、紛争や災害などのショックから立ち直り、豊かで持続可能な未来を築くための支援を実施しています。世界の120以上の国や地域で、年間1億5000万人以上を支援。2020年にノーベル平和賞を受賞。
国連世界食糧計画(WFP)特集
バックナンバー
国連WFPニュースレター
Vol.73 :
紛争、洪水、相次ぐ地震、そして過酷な冬/危機に見舞われる人びとへ、今日を生きるための食料を
Vol.72 :
特集:国連WFP親善大使の杏さん チュニジアを訪問 ― 学校給食支援、女性主導の農業開発団体の現場を視察 ―
Vol.71 :
特集・実を結び始めた国連WFPの自立支援 ― アフリカ サヘル地域の緑化、戦火のウクライナ・地震被災のシリアでの自立支援