キッチンから世界を変える/自立を支える「地産地消」の学校給食 vol.23

キッチンから世界を変える/自立を支える「地産地消」の学校給食 vol.23

キッチンから世界を変える/自立を支える「地産地消」の学校給食 vol.23

シェムリアップ近郊のボス・トム村の小規模農家トムさんは、学校給食用の野菜を育てている

シェムリアップ近郊のボス・トム村の小規模農家トムさんは、学校給食用の野菜を育てている

学校給食がつなぐ地域の人々と子どもたち

ボス・トム小学校の子どもたちのために、地元の女性たちが毎日給食を調理している写真ボス・トム小学校の子どもたちのために、地元の女性たちが毎日給食を調理している

カンボジアの小学校では、国連世界食糧計画(国連WFP)が支援する給食プログラムが実施されています。このプログラムは、子どもたちに栄養たっぷりの食事を提供するだけでなく、地元で育てた食材を活用することにも力を入れています。

シェムリアップ県のボス・トム小学校では、カー・トムさんが無農薬で育てたレタスが給食に使われています。トムさんは「この仕事をとても誇りに思っています。何よりも、野菜作りが本当に楽しいんです」と、にこやかに話します。

地域の農家が収穫した長インゲンの写真地元の農家が収穫した長インゲン

おいしい給食が子どもたちの元に届くまでには、野菜を育てる人、学校に運ぶ人、調理する人など、多くの人々が関わっています。

メック・シナットさんは前日の夕方、近所の農家を回って長インゲン、ひょうたん、レタス、かぼちゃを集めました。そして翌朝、日の出前から、自宅で丁寧に計量し、袋詰めをしています。今日のメニューは、旬の野菜と魚、そしてスパイスとハーブを合わせた「サムロール・コーコー」です。届けられた新鮮な野菜は、20年の経験を持つリーチ・パンさんが、専用の鉢で細かくつぶしたり、刻んだりして丁寧に調理します。

地域の雇用にもつながる学校給食プログラム

栄養価が高く温かい給食は、子どもたちの健康や地元の雇用につながっている写真栄養価が高く温かい給食は、子どもたちの健康や地元の雇用につながっている

国連WFPは1999年からカンボジア政府と共に学校給食プログラムを開始し、これまで約30万人に提供してきました。食材の7割以上を地元産とすることで、子どもたちの健康だけでなく、地元の女性たちの雇用にもつながっています。安定した納品先ができることで収入が約束され、出稼ぎに行く必要もなくなりました。メックさんは「夫や家族に頼らずに、自分の力で収入を得たかった」と語ります。仕事を始めて2年目。自らの収入で、トラクターの燃料などが購入できるようになりました。国連WFPが推進する「地産地消」の学校給食は、地域全体の生産性や経済活動の底上げに貢献しています。

国連世界食糧計画(国連WFP)とは?

WFP_logo

飢餓のない世界を目指して活動する国連の食料支援機関。緊急時には命を救う食料を届ける共に、紛争や災害などのショックから立ち直り、豊かで持続可能な未来を築くための支援を実施しています。世界の120以上の国や地域で、年間1億5000万人以上を支援。2020年にノーベル平和賞を受賞。

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